初雪の知らせ
北国田舎市ド田舎町にもやって来た。
冬がやって来た。
今朝、目を覚まし曇天の窓の外に目をやると、一面、白かった。
雪が降り軽く積もっていた。まだチラついているようだ。峠や山間部では既に幾度か降っていたようだが、平野部での積雪は今シーズン初だ。
ついに冬が来てしまった。どんよりと曇っている空のせいで余計に重たい気分になってしまう。
来るべき世界に来るべき時に来るべきものが待たせたなとばかり降りしきっていた。
これからの寒い・滑る・雪かきの三重苦の日々を告げるために。
もうすぐ溜息も白くなる。
鼻毛も凍って鼻の穴がへばりつく。
車も滑って止まらなくなる。
雪かきの汗が冷えて風邪ひいてしまう。
正直に書いてしまうとこんな良いところなど何一つない北国の冬だが、
雪降る夜はひたすらに静かだ。
自分以外誰もいないのでは?世界が止まってしまったかの様な静寂さがある。
そして、その中を白い息を吐きながらコンビニなんかにちょっと歩くのが割と
好きだったりもする。
雪明りのなか自分の足音だけがギュっギュっと鳴る。
刺すように張り詰める澄んだ空気を吸い込んで取るに足らない事を想う。
その空気に洗われて何か大層な答えが出るわけでもない。が、
自分の中でにすっかり煮え切って干からびてしまったことに酸素が行き届く感じがする。
ただただ懐かしい日々と懐かしい顔が思い浮かんでは消えていくように
息は白く残っては消えていく。
ギュっと残した足跡も人知れず。
今年はどんな冬になるだろう。
あんまり寒くないといいな。灯油も高いし。