足が痛いと訴える夜に
良くないようだ。母の状態だ。
この頃では床に就くと足が痛いとしきりに父に訴えるようになった。
勿論、外傷はない。
どこかにぶつけたとかの事実もやはりない。
ネットを散見するとパーキンソン病由来の痛みの訴えであると思うのが妥当な気がする。
厄介なのが隣で眠りに就こうとする父に痛みを訴えていることである。
そしてこの父というのは病院嫌いで、どこぞの家庭用治療器なんかを駆使して
医学など学んだこともない男が閃きとカンを頼りに家庭用治療器なんかで治療と称した
外野から見れば誤魔化しと違わぬことを行うのである。
勿論、医者も匙を投げている病であるし、代替医療を真っ向否定する気はない。
だが、少しでも症状を緩和してやりたいと思っている純粋な心から来ているのだとすれば尚更頭ごなしに否定する訳にも行かないし、
効果が出ているのなら否定しようがない。
ーーー効果が出ているのであれば、だ。
そんな環境下で母も幾数十年も人生を費やして来ているのである。
父のなんちゃって医療にすがるのも無理もないことなのかもしれない。
そして、老い病み認知障害を伴うと尚のこと。
誰かをすがったりも、或いは積年の怨みにも似た思いを今表現しているのだとしても。
家族の闇はこんなことにも潜んでいる。