希望は売り切れですか?

アラフォーでアダルトチルドレンで独身でおまけに失業に介護・・・。今日もつぶやく『店員さん・・希望は売り切れですか?』

パズル

オカンとパズルをする。

100均で売っている幼児向けのパズル。

対象年齢は3才以上となっていた。知育玩具と言ったところである。

 

以前も書いたがオカンには持病がある。パーキンソン病だ。

罹患してもう10年以上になっていて、それなりに病気は進行してしまっている。

それは体だけではなく、頭にもだ。

今はまだ経度ではあるもののごく普通、健全な70代のそれとは言い難い。

つまり認知症も併発している。

 

どうも図形が苦手になってきているようだ。

空白を埋めるであろう絵柄・形状を認識しそれらしいピースを探して当てはめてみる。

言葉にすると他愛もないことだが本人にとっては相当難題であったようだ。

30ピース程度がオカンにとっては3000ピース以上に感じていたのであろうか。

それ以上、無限ピースかもしれないし、正解のピースなどここには無いように感じていたのかもしれない。

 

1時間…まだ終わらない。

残り3ピースが進まない。

頭の片隅どこかにあるであろう正解へのきっかけが見つけられずにいるようでもあった。

が、それも違うようにも見えた。

埋めたピースの上に行く末を探るピースを重ね置いたりもしている。

老眼で見えていない? そんなことも思い尋ねるが見えているらしい。

“見えている” ならば、

これ以上は不可侵だ。立ち入りたくとも立ち入れない。

感じたくとも感じれない。

 

もしかしたらパズルの概念もわからなくなっている?とも思うが、残り3ピースまでは自力で辿り着いている。

 

間違いを正すべきか戸惑う。

 

今のオカンにはこれが正解なのかも知れない。

オカンにしか分かり得ないが、立派な回答なのかもしれない。

だが、それではパズルは完成しない。

パズルのルールではそれは通用しない。

 

正解は…考えあぐねてしまう。

 

3才児に期待されるものと70才過ぎた老人に期待されるものは当たり前に違う。

これから諸々を身に付けていく者とこれから諸々を身から離していく者。

一向に完成しないパズルは同じ。きっと完成を目指している本人の気持ちは同じなのに。

 

そっと正解のピースを手にとり、渡してみる。

解ったか解ってないかは分からない。

が、自力とは行かないまでも最後まで辿り着いた。

 

パズルのルールに則った。

今のオカンにとっては不自由で窮屈な答えだったかもしれない。

だが、この社会のどこかすみっこ、小さくとも無力とも大切なひとつのピースとして組み込まれているオカン。そうであって欲しい。

 

そんな願いを込めて。

 

 

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